理事会研修(熊本地震被災地視察)報告

1.実施日と参加者

  ・3月6日(火)~7日(水)
      ・参加者 ~ 生協連役員7名と事務局長の合計8名

 2.視察研修の目的と視察研修内容

 熊本地震に際して発生時から復興のために、生協及び県生協連が取り組んだことを現地の生協の実体験から学び、各会員生協及び山口県生協連としての今後の活動や災害に備えての対応マニュアル、事業継続計画(BCP)等に活かすことを目的に以下の内容で実施しました。

日付

         視察内容

3月6日(火)

①被災した熊本城の被害状況と復興状況
②熊本県生協連での震災に関するレクチャー
 <吉永熊本県連会長より>
(i)  被災状況
(ii)生協くまもとの事業継続活動
(iii)  熊本県生協連と生協くまもと及び全国の生協が取り組んだ被災地支援活動
(iv)災害支援物資納品における熊本県生協連と生協くまもとと熊本県及び各市町村との関係
(v)  組合員さんによる被災地支援活動
(vi)熊本地震を経験しての今後の課題・教訓
(vii)  熊本地震災害で幸運だったこと・助かったこと

<生協くまもと復興支援センター事務局の中島・亀井さんより>
 ・生協くまもと組合員の被災地支援活動

<大谷熊本県生協連専務より>
 ・熊本地震を体験して

3月7日(水)

③被災地視察
(i)  仮設団地
(ii)西原村被災地
(iii)  南阿蘇村被災地

3.レクチャーで「熊本地震を経験しての今後の課題・教訓」として話されたこと

  1. 災害時協定の見直しと大災害はどこでも必ず起こるという意識に立った定期訓練が必要でした。
  2. 今後は、各市町村との個別の協定締結が必要。また、電話1本で繋がる日頃からの関係作りが必要。幸い県との関係は以前から良く、この点は助かりました。
  3. 県消費生活課以外の県の部署との関係作りが不十分でした。大災害時に物資調達の要となる部署(特に商工政策課)との関係作りが今後の課題。
  4. 最低年1回程度は、災害時の対応確認と担当者確認のために、県及び各市町村の災害部局・担当と協定を結んでいる団体が一堂に会する合同会議が必要。
  5. 緊急車両の事前登録、緊急車両横断幕、ヘルメット等の事前準備が必要。
  6. コープ九州・日本生協連との情報流はそれぞれの対策本部に一本化することが必要。※発災当初は各部署・各担当間のやりとりで混乱したが、熊本県生協連(生協くまもと)⇔コープ九州⇔日本生協連の体制ができて動きがスムーズになった
  7. 大災害時には様々な情報が錯綜します。災害対策本部長への情報の集中と独立した対策本部室の確保が必要。
  8. 同じ熊本県内でも被災地域と被災しなかった地域、及びその職員間の震災対応の意識の格差があった。同じ意識を持たせる工夫が必要。
  9. 過去の大災害時の日本生協連及び被災地生協からの様々な発信と記録の公開、研修会等で得た感覚的なものや知識が役に立ちました。
  10. 職員の安否確認は連絡網ですぐできたが、住宅被害等の職員の被災状況の把握に時間がかかった。今後システムの導入が必要。
  11. 生協くまもとの現在の災害対応規程に加えて、もう少し詳細なBCPが必要。
  12. 被災地支援において、熊本県生協連の会員生協の連携はほとんどできませんでした。大災害時に連携して対応にあたるということ自体を想定していませんでした。熊本県生協連としてのBCPもありませんでした。今後は県連としてBCPを策定する必要があります。
  13. このような大災害時において、対行政及び対日本生協連・全国の生協との関係において、県生協連及び拠点生協の果たす役割の大きさを身を以て体験しました。
  14. 日本生協連はじめ、全国の各生協連合会及び各生協が糾合すれば、救助物資支援及び共済金の給付活動のみならず、募金活動・炊き出し・介護支援・健康相談や健康チェック活動・ボランティアセンターへの支援・避難所や仮設団地での生活支援等々、生協は被災地及び被災者に対し、多面的な支援ができる組織であることを、日ごろから行政や地域に理解していただく取り組みが不足していました。

熊本研修1 熊本研修2

(対応で幸運だったこと、助かったこと)

  1. 物流機能及びシステムが機能していたので事業継続、支援活動ができた。
  2. 生協くまもとの本部(水俣市)が被災しなかったため、本部からの熊本市等への応援体制が組めた。
  3. 阪神淡路大震災の時と違って、気候が良く活動しやすかった。
  4. 発災の少し前にwifi環境を整備しており、事務所内で場所を選ばず仕事ができた。業務用のipadも役に立った。(膨大なメール)
  5. 益城町の新支所が完成したばかりで、新支所はほとんど被害を受けず、このことにより事業継続できた。※この新支所に計画を前倒しして2支所を発災2日後に引っ越しし、3支所を統合
  6. 引っ越した後の旧支所を支援物資センター、その後の被災地支援センターとして活用できた。
  7. 日本生協連及びコープ九州から、益城町にある合同対策本部に情報を上げる役割を持った人が派遣されていた。現地の混乱の中で、正確な情報が各対策本部に伝わっており、的確な打ち手の助言を受けることができた。
  8. 熊本支援のために来られた方は、食事や宿泊などを全て自分でされる自立型で、熊本県生協連及び生協くまもとの受援における負担は一切なく、震災対応に集中できた。
  9. 4月29日に東日本大震災時にみやぎ生協の災害対策本部の事務局を担当された方を熊本に派遣していただき、県との物資納品の精算業務について指導していただいた。これにより、生協主導で精算業務を進めることができた。また、1週間ほど滞在いただき、膨大な量の納品明細書の作成にもご協力いただいた。
  10. 生協くまもと理事長が県生協連会長理事を兼務しており、拠点生協と県連との連携がスムーズにできた。
  11. 被災地支援活動を通して、行政及び社協、地域との関係が格段に深まった。このことは今後も継続したい。

熊本研修3熊本研修4

4.視察被災地の状況

1.熊本城
熊本研修5・マスコミで報道されたように天守閣の屋根や櫓の石垣の被害が多く、特に石垣は随所で崩れており、平成になって改築した石垣の被害が多く、昔の技術の素晴らしさを逆に感じました。熊本城は文化遺産登録されているために、元どおりの石垣に修復する必要があるとのことでした。一つひとつの石に番号を書いて保管し、石垣の内側の盛石と共に元どおりの石垣にするそうです。完成には約20年、700億円弱かかるそうで、復興資金を調達するために「熊本城復興城主手形」によるの募金活動が行われています。

 

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2. 仮設団地
熊本研修8・被害の大きかった益城町や西原村、南阿蘇村などの方々の仮設住宅には、震災から約2年経過した今も多くの方が居住されており、西原村の小森団地は最大時301世帯841人で昨年7月末でも292世帯770名ということでした。
・住まいだけでなく、被災者同士が集える集会所や買い物に行けない方のために小型の特設スーパーやコンビニのある仮設団地もありました。
・大谷専務もそうですが、仮設住宅から通勤している方が多く、昼間は閑散とした感じでした。

3.西原村、南阿蘇の被災地
・西原村は死者8名、家屋の全壊512棟、半壊以上1376棟と非常に大きな被害がでたところですが、震災から2年経過して約1700棟が解体されたそうで、更地になったところがたくさんありました。昔に建てられた瓦の重い家の被害が多く、大谷専務の家も古い農家で今は更地になっていました。橋や道路の修復を行っている所が多く、橋と道路が1メートル近く横にずれたところもあったそうで、地震のすざまじさを感じました。民家の石垣や脇道の道路などはまだ震災時のままのところが相当に残っていました。
熊本研修9 熊本研修10

 

 

 

 

 

4.南阿蘇村

・阿蘇大橋を崩落させた山の地滑り現場は、テレビで見るより高さ、幅とも非常に大きく、地滑りというより山が崩れた有様でした。山肌に防災用の草木やネットを張るための基礎づくりの工事用の重機が小さく見えるほどの規模でした。代替えの橋を下流に建設されている最中でしたが、まだ橋脚は1本も完成していない状況ですから当分の間交通の不便は解消しないようです。近くにあった東海大学の鉄筋ビルの寮は、今は工事関係者の住居に使用されているそうでした。
・長陽大橋も同様に架け替え工事の最中でしたが、橋脚が高く橋も長いため完成には時間がかかるとのことでした。

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